フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

演奏会前のティータイム(6) イタリア人の七変化

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 ついに、明日に公演が迫りました!やれるだけのことはやったので、あとは楽しんで演奏できたらと思います。

 今日で一応最後になりましたが、「演奏会シリーズ」を読んでくださってありがとうございました!
 最後に今日のリハーサルでは、アジア初演になるラウッツィーニとジョルダーニを主にとりあげましたが、これがまた今までやってきた連弾の「仕方」とはぜんぜん違う。アントニオにとっても、きっとこれらの曲を「おもしろく」弾くのは、容易ではないはず。。きっといろいろな手法を試したのだと思います。だって、モーツァルトやベートーヴェンみたいに曲の中にいろいろな要素が詰まっているのではなく、楽譜はいたってシンプル。そして「アレグロ」という表記でセコンドパートは、16分音符ばかり。それを派手にがちゃがちゃと弾いていたら、「それでは一方向すぎるよ、イタリア音楽はもっと「予想外」のことがおこらなければだめだ」と言われ、なーるほど!基本になっているものが違う。すなわち「オペラ」が基本になっているので、プリモパートの旋律は「歌」でなければならず、そのシンプルな楽譜から、たくさんのことを読み取って、表現していかなればならないんだと。だからその「歌」をうまく導きつつ、自在なテンポで音楽を明るく、そしてまた時にはもの悲しく語ってゆく。そしてチャーミングな3度の動きがいたるところちりばめられいて、それも高らかにプリモとセコンドで、まるでオペラの二重唱のように奏でると、急にまた音楽がふわっと出てくる!

 最初は、「アレグロ」というテンポなのに、随分遅いテンポをとるんだなとおもったのですが、これだけいろいろなことをやろうとすると、ただのマシーンのような16分音符の羅列では、この「歌」を導くことはできないのであります。しかし、アントニオのやろうとしていることは大胆なので、なかなかこういう風に公で弾くっていうことは勇気のいることなのですが、私たちの「テンポ・ルバート」は読んで字のごとく、「テンポを盗む」すなわち「楽節の速さを遅くしたり早くしたり加減する」ことで、より音楽を鮮やかによみがえらせることに主眼をおいているので、この点でも、従来の連弾とは違うといえるでしょう!なにか新しいことを(でも、私たちの場合は歴史の裏づけをもってやっているので、ただの「フィーリング」でこれを決めているわけではありません。これを「演奏実践」といってちゃんと当時の(この場合は18世紀の)文献に基づいておこなっています)やろうとすると、それにはリスクがつきまわりますし、従来のものとちがって耳になじまない(私もこの「イタリア」の作品たちにはなじめない日々が続きました。。)ことも起こりえるかもしれないですが、明日は、どうぞ、なにか新しい発見というか、「音の旅」にでかける気持ちでご来場いただければ誠に幸いです! 
 私たちもわくわくしております!では!今日という一日を大切に、感謝を込めて弾こうと思います!

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