フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

ベートーヴェンの気持ち

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  今日も朝ごはん前の散歩。普段歩きなれないので、結構クタクタに。朝食にヨーグルトと黒砂糖をたっぷりかけたりんご、バナナ、イチゴを食べてチャージ。いろいろと思うように進んだが、急に山の上のコンサートに行くことにきめた途端、焦りが音にでる。自分の耳にもよくないので、明日はベートーヴェンの日に決めてコンサートへ。お目当はベートーヴェンのチェロソナタ作品69。そう、東京での5/13の曲目だ。他の曲はとてもいいけど、ベートーヴェンだけ違和感があった。自分の耳が、フォルテピアノでの演奏に慣れているだけかもしれない。けれどかかれていないルバートが頻繁にあって、相手と合わせるためのルバートや息継ぎが、はたしてベートーヴェンの目指したスピリットかどうか、それが気になって、8/8の東京コンサートに迎えるトラヴェルソのANAさんと長電話。バルト・クイケンの最近の著書に話題が及び、同じ方向性をもった演奏家と意見を交換できる喜びが湧き上がる。松尾芭蕉の引用がクイケン氏の本にはあるのだが、これが言い得て妙。つまり先人たちが歩いたところにただ行くのではなく、先人たちがなにを探し求めていたかを探し出す旅だと。フォルテピアノだとベートーヴェンの想像していたであろう音は比較的見つけやすいのかもしれないーでも音源も残されていないなか、やはり一番の手がかりは楽譜がすべてだと思う。その精神世界への旅人になり、楽譜を丁寧に謙虚に見ることが、少しでもベートーヴェンのそばで、その呼吸を感じ、マスターピースを享受できる幸せを噛みしめることになるんじゃないかと。モダンとか古楽とかじゃなくって、もっとその奥にある音楽への気持ちを今一度強く感じた日となった。

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