フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

イギリスのこと

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 皆様、不可思議なお天気でしたが今日はいかが過ごされましたか?私は横浜へいって高校の同級生とランチをし、コーヒーのおかわりをおそらく5杯以上して、楽しくしゃべりまくってきました。。
 家へつくと、10月に行われた「John Kerr Award」の主催者の方からご丁寧なお手紙をいただいていて、写真を何枚かいただきました。そこで私はあんまりこのことについてはこのブログに書いていないということに気づきました。。
 アントニオ氏との演奏会の合間を縫って、どうやって成田までたどり着いたのかしらというくらい、あいまいな記憶の中で飛行機にのり、ついたらロンドンだったという10月の2日。5年ぶりのロンドン!と思ったけれど、テムズ川のキラキラした水面を電車から眺めつつ、一度もロンドンの空気を吸うこともなく、1時間ほど南に下りコンクールのあった街へ。とてもおしゃれな街「タンブリッジウェルズ」-そしておそらくとてもリッチな人々が住む街なのか、大きい邸宅、おしゃれな庭が目につきました。
 コンクールは「フィンチコックス」というお城の中で行われ、まあ贅沢な!鍵盤楽器がおそらく100台くらいあるなかの、コンディションがいいものをフォルテピアノは5台くらいメインホールに置いてあって、その中からさらに自分たちがプログラミングした曲にあったピアノを選択するという、(フォルテピアノをやっていて、一番楽しいのはここの部分かも!) とても楽しい、発見の多いコンクールでした。
 本番は5日で、かなりのお客さまが入り、私は3台の自分が選択したピアノを、用意していった歌曲5曲にあわせてチェンジしていったのですが、お客さまとの距離がまあ近い!手が震えているのがばれちゃったかもしれません。なかでも1821年の「ジョン・ブロードウッド」がとてもコンディションがよく、クレメンティの歌曲「ノルウエーの少女」という暗ーく悲しい物語を、低音のおどろおどろしい感じと、高音のやさしく歌ってくれる感じをうまく引き出すことができたので(「私が引き出す」というか勝手にそうなるという感じの方が近いかも)、弾いていて、私も感極まりました。ヒストリカルのピアノを触ることっていうのは、本当に手の中に、指の先に感じるものがコピーとは全然違うので、心がウキウキする反面、こういう楽器と対話できるという、「一期一会」に自ずと体が反応していくという興奮を味わいます。
 結果は無事私の歌手アンジェリークちゃんが2位をいただき、私自身も伴奏賞を頂くことができて、わざわざ行った甲斐があったのですが、いただいたコメントがとてもうれしくて、「ただピアノがうまいとか、伴奏するということではなくて、感動を与える瞬間を創造した」伴奏者ということで賞をいただけました。これも普段からたくさんのかたに支えられていただいたものなので、私一人の力ではありません。特にアントニオ氏に「何があっても自分より音楽を尊重する」という姿勢、それから大切なお友達の一人ジョー君からいただいた「自分の得意な、自分にしかできないことを表現すればいいだけのことで、そこに「恐れ」はないはずだ」というコメントは、その頃の私には大きな力となりました。またこの場を借りていつも見守ってくださる方々にも御礼を申しあげたいと思います!ありがとうございました!

 ちなみに上の写真は「旅行用ピアノ」でコンディションがとても良く、弾いていてあまりにたくさんの表現の可能性があるので、本当に驚きました!
 下の写真は主催者さんのご自宅にあるピアノで、中央の写真が「ジョン・ケール」さんです。彼が亡くなったのを惜しんで、奥様が作ったのがこのコンクールです。

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