フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

in Japan:recent entries

しばらくの休息

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 随分お休みしてしまいました。。まるまる一ヶ月。
 でも!ただボーっとしていたわけでなく、いままで一番苦手としていたこと―「規則正しく」なんでもやってみる、そして「継続してやる」ということをがんばっていたのであります。そういうことが、土壇場の時に、ちゃんとした力になって、安定性をもたらすということがわかったから!そして、精神的にも、小さなことに惑わされることなく、大事なものに時間を使えるようになったような気がします。
 ここ一ヶ月は、ほんとうに大学時代の旧友とお会いしたり連絡いただくこと多く、みなさまのそれぞれのご活躍にとても励まされ、また徐々に大きな形になっていくんだなと改めて思いました。
 今月からまたオランダとドイツにいきますが、またたぶんいろいろなことを学べるのだろうなと、わくわくしつつ、でも今はかなりしっかりめの練習を、日々こなしています。そういう日々の積み重ねでしか、表現できない世界があるはずで、そこに自分の音色とか人生とか表せたら一番いいけど、それにはまず骨組みがしっかりしてないとね!
  今年は、いろいろなことが起こる予感で、そのための下準備をコツコツとやっています。コンコンと降る雪の音をききながら。。。

謹賀新年!2010!

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 皆様、あけましておめでとうございます!
 私は31日からのトリツカレタような猛烈掃除をして、除夜の鐘を聴き、そしていつもの神社にならんで、お神酒をいただき、心身ともにリフレッシュ。本当に浄化された気分!楽しく2010年を過ごせるような気がして今からワクワクです!
  どんなことが待ち受けているのか、たぶん音楽面でも、人生においてもひとつの節目になる年だと思います。いつも必ず元旦には自分なりのキーワードを掲げているのですけど、やっぱり「清く、正しく、美しく」ですね。今年は。何をやるにも溌剌と、颯爽と、明るくやることが、いろいろな意味でエナジーを回転させていくことになるし、なにより気分がいい。やっぱり潔く、いろいろなことを「乗り越える」、また「乗り越えようとしている」人には純粋に共感するし、もっと見てみたい!って思うし。それで、そういう人たちをよーく観察すると、やっぱりそういうこと。心がちゃんと澄んでいることなんだなと、改めて思うのであります!
 今年は2月3月とオランダ、イギリス、そして7月8月とベルギーとフランス、それから10月にアントニオ氏と優勝記念ツアーがあって、毎日が本当に音楽漬けになりそう!そしてそれは、本当に幸せで楽しくって仕方がない!本当にここまで続けてこられたことに、感謝感謝です! 
  世界中の誰もが、より幸せになるよう心からお祈りして、元旦の夜!就寝です!
 
  本年度も何卒よろしくお願い申し上げます!

ヘ長調と私

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 今日は、きりたんぽ鍋なんかしちゃって、そのあとデザートなんかも作っちゃって、贅沢な夕食。私にしてはがんばった!
  今日の練習で、自分の音がホワっと、宙に飛んでいって、それがなんとも自然で、テンポ感とかも初めてなのに、サッと入っていけて、なんなんだろうと。シンプルな形、飽きのこない音の羅列。でもね、モーツァルトが難しいのは、ここからさらに深めていく時にいつもあーでもない、こーでもないしていると、するりと逃げられちゃうこと。。。ピアノソナタのKV533を勉強中。
  思えば私は「ヘ長調」という調性が大好き!なんでだろうと追っていくと、一番最初に真剣にやったソナタもKV332、それからバッハのイタリア協奏曲。ヘ長調は優美なのに、「テンペスト」を象徴したり、「ドン・ジョバンニ」なんかの激しさを象徴する「ニ短調」に突然変移したりするところとか、でも激しさはつかの間で、ちゃんと自然にシンプルな、ハ長調とは違った透明度で着地するような、それでいて温かみがある音の感じがむかしッから好き。
 そういえばこの前優勝をいただいたときにも最後はハイドンの「先生と生徒」でヘ長調だった!あんなコミカルに演じたりしても(携帯電話をコンクールで鳴らすなんて、結構度胸がいった。。)、キチンとヘ長調のメヌエットで終わるから、後味が安くならず、「芸術」としてしっかり伝わる。伝えることができる。
  なんとなくもっとヘ長調を調べてたら、大好きなキム・ヨナちゃんが踊っていたのもガーシュインの「ヘ長調コンチェルト」だったりして、選曲もさすがだ!ピアノが入ってくるとこの、普通だったらピアノコンチェルトで、「さあ、弾くよ!」って気合はいるところで、さっそくあの気だるい感じでカウンターパンチ!を食らわすところが、ほんと天才の神業!
 私にとってはへ長調の音のイメージってなんとなくグリーンで、それでこの写真はオランダにいた時に駱駝さんの毛で編んだショールをいただいた方が食後につくってくださったデザート。わざわざ器も用意しちゃうところにセンスのよさを感じる。なぜかこの器の色を思い出して、急に食べたくなったので再現してみたが。。本場の味には及ばず、おそらくコンポートにするときワインをケチったか、水を多く入れすぎちゃったかな。。。再度挑戦!

やっとやっと帰国です!

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 ふうーー2ヶ月ぶりの再会です!寒いですが皆様お変わりありませんか?

 ここんとこの私の2ヶ月。正確には54日間。たのしかったし、とても貴重な経験をたくさん積ませていただきました。また新たな刺激的な出会いに心をはずませ、その一方、旧友との深い絆を改めて確信しつつ。。飛行機の中からたくさんの星をみながらそれらの出会いについて綴ってきました!とても濃い時間だったと思います。
 そんな中、もう1ヶ月前のことですが、国際古楽アンサンブルコンクールVan Wassenaer Concoursに「テンポ・ルバート」アントニオ氏と私のフォルテピアノ・デュエットがなんと優勝してしまいました!いろいろな偶然が重なって、さらっと、ふってきたような、そんな感じで、あまりずっしりとした手ごたえはなかったのですが、ジワジワと実感してきております。そして今後、これはとてもよい風になって、私達をいろいろな人、場所、時空へと運んでくれそうな。。いまから来年の優勝ツアー、ベネルクス3国でのツアーをとても楽しみにしております!(2010年10月)
 写真は決勝の時の演奏中で、ハイドンの「先生と生徒」という作品を、コメディーっぽく仕上げ、私がピアノの弾けない生徒役を演じていて、アントニオ氏が先生役なのですが、彼が即興演奏を始めたりして、独り舞台になったので、私は飽き飽きして寝てしまえ!というショットの直前のところが、なぜだか写真家の方に撮られていました!

http://www.youtube.com/watch?v=eoDVTvCwEgY

 あと、TV出演もありまして(アントニオ氏のTV撮影に慣れていることったら!)オランダの有名な音楽番組に出させていただき、インタビューの後8分間くらい演奏をしましたが、その模様がYOUTUBEで視聴できるので、ご覧くださいませ!またコンクール後、オランダの「ラジオ4」が決勝での演奏を流していましたので、それも近いうちにアップいたします!またイタリアのラジオ局にも取り上げていただき、とても幸先のよいスタートを切ることができました。

 これも普段からお世話になっている方々、ファンの方々の支えあってのことでして、この場を借りて、深く感謝いたします!しばらく日本にいますが、来年はイギリスに少し活動を広げようとしているところです!今後ともなにとぞよろしくお願い致します!

 

antonio megu reh. at s mama_R.jpg

 ついに、明日に公演が迫りました!やれるだけのことはやったので、あとは楽しんで演奏できたらと思います。

 今日で一応最後になりましたが、「演奏会シリーズ」を読んでくださってありがとうございました!
 最後に今日のリハーサルでは、アジア初演になるラウッツィーニとジョルダーニを主にとりあげましたが、これがまた今までやってきた連弾の「仕方」とはぜんぜん違う。アントニオにとっても、きっとこれらの曲を「おもしろく」弾くのは、容易ではないはず。。きっといろいろな手法を試したのだと思います。だって、モーツァルトやベートーヴェンみたいに曲の中にいろいろな要素が詰まっているのではなく、楽譜はいたってシンプル。そして「アレグロ」という表記でセコンドパートは、16分音符ばかり。それを派手にがちゃがちゃと弾いていたら、「それでは一方向すぎるよ、イタリア音楽はもっと「予想外」のことがおこらなければだめだ」と言われ、なーるほど!基本になっているものが違う。すなわち「オペラ」が基本になっているので、プリモパートの旋律は「歌」でなければならず、そのシンプルな楽譜から、たくさんのことを読み取って、表現していかなればならないんだと。だからその「歌」をうまく導きつつ、自在なテンポで音楽を明るく、そしてまた時にはもの悲しく語ってゆく。そしてチャーミングな3度の動きがいたるところちりばめられいて、それも高らかにプリモとセコンドで、まるでオペラの二重唱のように奏でると、急にまた音楽がふわっと出てくる!

 最初は、「アレグロ」というテンポなのに、随分遅いテンポをとるんだなとおもったのですが、これだけいろいろなことをやろうとすると、ただのマシーンのような16分音符の羅列では、この「歌」を導くことはできないのであります。しかし、アントニオのやろうとしていることは大胆なので、なかなかこういう風に公で弾くっていうことは勇気のいることなのですが、私たちの「テンポ・ルバート」は読んで字のごとく、「テンポを盗む」すなわち「楽節の速さを遅くしたり早くしたり加減する」ことで、より音楽を鮮やかによみがえらせることに主眼をおいているので、この点でも、従来の連弾とは違うといえるでしょう!なにか新しいことを(でも、私たちの場合は歴史の裏づけをもってやっているので、ただの「フィーリング」でこれを決めているわけではありません。これを「演奏実践」といってちゃんと当時の(この場合は18世紀の)文献に基づいておこなっています)やろうとすると、それにはリスクがつきまわりますし、従来のものとちがって耳になじまない(私もこの「イタリア」の作品たちにはなじめない日々が続きました。。)ことも起こりえるかもしれないですが、明日は、どうぞ、なにか新しい発見というか、「音の旅」にでかける気持ちでご来場いただければ誠に幸いです! 
 私たちもわくわくしております!では!今日という一日を大切に、感謝を込めて弾こうと思います!

アントニオ めぐ リハーサル _R.jpg  

 

 はてさて、やっとすこし落ち着いてきましたが、無事アントニオ氏も来日し、コンサートの準備も着々と整いつつあります!
  今日のリハーサルで、ベートーヴェンのウイーンでの恩師、アルブレヒツベルガーのフーガにとりかかっていたところ、「めぐみの演奏は音がハッピーすぎるよ」といわれ、なんのこっちゃと思っていたのですが、「ハッピーを表現するのに、イタリア人の仕事が早くおわってハッピーというのと、ドイツ人の「さあ仕事だ、はりきってやろう!」という気質からでてくる音の方向性は全然違うよ!」と言われたときに、ハッとしたのであります。きっとオランダに暮らしていた時は、生活がそんな感じなんで、自然とできていたこともあるのでしょうね。そういう面でもヨーロッパ人といっしょにお仕事させてもらうっていうのは非常に刺激的なのであります。だから、このある意味「ドイツ人的」フーガも「音はもっと重めにとって、厳格に、表現しなきゃならない、笑顔はこころのなかだけにしときなさい」といわれ、そういうことを気をつけていくと、なんだか音楽が香水のようにそれぞれの曲にあったスタイルで立体的に立ち上ってくるのであります。
 この「連弾」という芸術は、もちろん、前回もすこし書いたように手のポジションとか制約が多い中で、いかに二人のエゴを、一つにまとめていくか、という、かなり高度なことを求められるのですが、人間の創造力っていうのはどこまでもすごいなと、あらためて認識させられる今日このごろ!前よりもかなり息があってきたなと感じるリハーサルでした!

 

人とのつながり

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 う~んどうやってもあと、30分はかかりそう。。
ブリタの水は取り替えたし、あとはこれを植木にかけて(アントニオ氏が教えてくれたのです。ブリタを取り替える時の水は、植木にいいと。。彼はしかもペットボトルにちゃんと保存してた。。)。。そして玄関掃除したらOK!

 明日、来日してくれちゃいます!ミスターピリコーネ。昨日も、朝の4時から5時までスカイプで、「チョコレートいる?よね?」という用件。。知らない間にミラノにいるし。。
 
 またいろいろなことが起こる2週間だと思います。

 そして、今日、夏からしていた仕事の一区切りで、なぜかとてもキュッときたなあ。やはり先生方もよかったし、生徒さんたちも良い子揃いで、私もいつも楽しんで若者のエキスをいただけたし、その発想の柔軟さやおもしろさは、なんとも温かい気持ちになり、励まされました!ありがとうございます!

 とりあえず、明日、遅刻しないように成田です。(去年は大雨で一時間遅刻。激怒してた(笑)。。もちろんだけど。。)

 そしてまたリハーサルからいろいろ音楽がもっと見えてくるとおもうので、あとの2回の連載はリハーサルのことについて書こうかなと。とりあえず、就寝までもうちょい!

  はてさて、時よとまって!と思うほど無常にもさらさらと流れていって、毎晩かなりギリギリのラインで戦っています。
  
  今日は横浜の非常に有意義なレクチャーに朝から参加!ねむいのなんか、ぱーっと吹き飛んで、佐々木先生のお話に集中した2時間でした。日本人でありながら、あのような切り口で西洋音楽を体得しようという、その心意気と真摯な気持ちに感動したのであります!その内容はまた今度アップできたらしたいなと。私なりの言葉でまとめる時間が必要です!
  この「ティータイム連載」も後半になりました!今日はタイトルだけじゃ?なんですが。。
テンポ・ルバート公演のプログラムで、「アジア初演」を含む、「イタリア系」の3曲ですが、弾けば弾くほど「3度」がいっぱい登場!「3度」とは、たとえばド音を弾いた時、3度上に音を重ねる、つまりドから数えて「ミ」の音、このように「3度」がなぜかとても多い!その理由はもうすぐ来日するアントニオ氏に尋ねてみるとして。。

 ラウッツィーニとジョルダーニは、基本的に奏者二人にこの「3度」が振り分けられている(例えば、セコンドの人が「ドレミレド」と弾いたら、プリモは「ミファソファミ」と旋律をうたう)のだけど、ピアノのテクニシャン、クレメンティ先生の楽曲(プログラムの一番最後に予定している曲)になると、そうはいかない。。この「3度」の重音がおのおのの奏者にあるので、より華やかではありますが、技巧的には難しいのであります。しかも合わせるのは容易ではないと、いまからすこしドキドキしているのであります。

  このクレメンティ、歴史の妙とでもいうべきか、かのモーツァルトと「演奏試合」をしているのであります。時は1781年12月24日クリスマスイヴ。場所はウイーンのホーフブルグ宮。モーツァルトは25歳であり、クレメンティは29歳の時の出来事です。結局ジャッジをした皇帝ヨーゼフ2世によって、モーツァルトが勝者となるわけですが、モーツァルトいわく、「クレメンティは優れたチェンバロ奏者である。右手が器用でお得意は3度であるが、ほかには何も表現しない職人である」と辛口の批評ではありますが、「3度」の達人であったことはこの文からも伺えます。のちのベートーヴェンにいわせると、「モーツァルトのピアノソナタよりもクレメンティのソナタがいい!」とか、まあいろんな意見があるのですが、私達がとりくんでいるハ長調の明るい4手用ソナタ、とくに終楽章のテンポのなかで、どのような「3度」が聞こえるか、よ~く耳を傾けてみてくださいね!私もいまからわくわくしているのであります!

音楽家っていうこと

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 今日は、連載は明日に回すとして、今日いった演奏会の感想!

 今日ご招待いただいたのは、「中村健佐さんの浜離宮コンサート」でした。プロストリートミュージシャンというからには、結構ガンガンやるのかなとおもったら、すべて癒し系の曲で、またピアノの田口さんという方のピアノがめちゃくちゃうまいし(シンセもよかった!)、息のあったDUOをきけて、心からリラックスできた一時なのでした。会場全体も、普段のクラシックのコンサートより落ち着いた雰囲気でした!
 浜離宮を埋め尽くすお客様をみて、「どうしてそんなにたくさんの人のハートをつかめるのか」ということを、ちょっと考えたりしたのですが、音大を出て、まじめ~~に「お勉強」、そしてなんとか門下のどーのこーのという感じで音楽をやってきていない分、やはりマジョリティーの気持ちを鷲づかみにしやすいのかな。みんなが入り込みやすい音楽を、ニーズにあったものを提供されているなと。演奏も、「自分らしさ」というのがあってとてもよかったと思います。お客様とのコミュニケーションも大事になさっている印象がありました!
  音大はいる前には、みんなそういう気持ちもっていたと思うのだけど、勉強していくと、「勉強」になっちゃう??でも音楽は感性のものだし。。??でも特に私のやっている「古楽」という分野では、研究が基本だし。。ううー。。コンガラガル。。今日のピアニストの方は、クラシックが基本にありながら、かなり柔軟にいろいろなことが出来る人の音色や音の滑らかさに、すばらしいセンスが光っていました!
 なんにせよ、お客様と一体になれる音楽会、そういうのを目指してがんばるのであります!私のやっていることは、研究結果を最後はちゃんと感性で伝えられるようになるまで追い込んで、ろ過していくことなのかな。明日はちゃんと連載続けられるはず。(ネタはあるのですけど、ちょっと時間が欲しいです!)

 はてさて、今日も上野、東京、京橋、有楽町。そして今やっと落ち着いた時間を取り戻しています。今日は私を古くから良くしてくださっている方々に会えて、なんていうか、この精神が磨り減っている中、10年以上もの変わらぬ友情を傾けてくれると、ホッとするというか、この世でもっとも大切なものを思い出させてくれるので、また気合が入ってきました!

 今日はちょっとベートーヴェンについて。
 私のこのサイトをみてくださっている方々はすでに察してくださっているとおもいますが、私、ベートーヴェンにはどうも特別な感情が入ります。誕生日が近いから?それもそうかもしれないけど、きっと、彼の音楽から察するに、あのクライマックスまで人をひっぱっておいて、ヒュッとかわしてくれるところなんか、なんとも人間的というか、シリアスな一面と、ユーモラスな一面がおもしろいように混じっていて、私自身もそういう二面性をもっていると思うので(自己の判断はあてにならない?)なにか惹き付けられてしまうのであります。

  今回の演奏会では「ヴァルトシュタイン伯爵のテーマによる8つの変奏曲」をとりあげますが、まあ、ひとことで言うと、百面相!いろいろなキャラクターが詰まっているので、タイミングや間のため方など、そのキャラクターを「演じて」しまうと、逆におもしろみがないのかも。アントニオ君と私は、お互いもとからころっころ気性が変わりやすいので、たぶんそういう意味でもこの曲は、私達のデュオならではの味付けになるのではないでしょうか?
  
  このヴァルトシュタイン伯爵、音楽やっている方ならかならず知っているあの曲! ベートーヴェンの中期のピアノ・ソナタの中でも傑作である作品53のソナタを献呈された方であります。が、意外な事実は、この伯爵、かなりのピアノの達人であったのであります。おそらく、この曲は伯爵が最初に「ほら、こんなテーマつくってみたよ!この先はよろしく!」みたいな感じで、ベートーヴェンに託されたのではないかと推測するのです。そしてきっと仲むつまじく連弾していたのではないかしらん?と想像をめぐらせて楽しんでいる今日この頃。。しかし、これは明らかに「家庭用」連弾曲をはるかに超えた難しさなのであります!なぜって?まず、プリモ(高音域)奏者とセコンド奏者(低音域)の「弾きにくさ」、つまり、手が重なるパーセンテージが高いのであります。しかも一瞬でも鍵盤に長くいすぎてしまうと、相手が打鍵する時には、まだハンマーが定位置に戻りきれてない=すでに時遅し。。=音が出ない!=ちょっと気まずい雰囲気。。なんてことにもなりかねないのです。。むんん。。だから、こんな曲を書くわけだから、よほどの友情関係が伯爵とベートーヴェンの間にはあったのでしょうね。ベートーヴェンがウイーンへ向けて出発する際に、「モーツァルトの魂を、ハイドンの手から受け取るのはあなたなのです」という、音楽史上、もっともドキドキするようなことを言える伯爵も、きっとすばらしい人格の持ち主であったと思います。

 この曲はハ長調という明るいチャーミングな調でかかれていますが、途中一瞬暗くなります。ハ短調という調性は「運命交響曲」なんかを想像していただくとわかるように、とても劇的な、しかもロマンティックな調べを含んでいます。そこからカプリッチョ=気まぐれなという意味が転じて「奇想曲」なんていう指示をしてきたりして、急に自由な楽想へ、そしてあとは、一気にクライマックス!なのだけど、最後にベートーヴェンが見せるウイットは、音楽室に貼ってあるあのいかめしい顔つきの彼ではなくって、さぞかしよくモテたのだろうなあということが想像つくような、まるでウインクでもされているかのような締めくくりなのであります!乞うご期待!