フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

October 2008Archives

まさかね。。

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 皆様、夜はめっきり冷え込むようになってきましたが、お元気でお過ごしですか??今日は実は人生でもめったにないくらいの確立でドラマがおきました。。(まったくの私事ですみません。。)
 都営三田線に普通に乗ったら、いた!オランダで仲良くしてくれてた打楽器のシュテファンくんが!窓にぴったりと寄り添って、そして私をみた瞬間に「めぐみ?!!!!!」って。しかも一緒にいられたのはわずかの一駅!彼は水道橋で降りていったけれど、最後まで見送ってくれました。日本へのツアーで「コンサート・スピリチュエル」に同行していて、明日お話できるかなっておもったら、もうオランダへ発つらしい。。うーーん。オランダであったのだって半年くらい前で、私の人生相談をさせられ、お気にいりのカフェでまったりとした日が懐かしい。私だって、一応都民だけど、三田線は人生でも数回しか乗ったことないし!しかも今日は「友愛歌曲コンクール」の伴奏でたまたま乗ったのであって。。どのくらいの確立でこういうことは起こるのでしょう?でも彼は日本にきたら私に連絡したいなっては念じてくれていたらしいので、やっぱり想いは必ず届くというか、神様は見ているなって、感動したけど、彼を見たときには声にならず、冷たいなっておもわれたかも。。そんなことないのだよ!今もじわじわと感動しています。
 文京シビックのピアノもかなりいいピアノで、弾いていて、今日はモダンとか、いつものとちがうぞっていう感じをまったく自分で感じないくらい、集中できました。こういうことに携われるのがいま本当に本当にうれしいです!お友達のJさん!ありがとうね!

ちょっとまじめなお話 その弐

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 はてさて、今日も非常に有意義に、そして楽しく過ごすことができました。オランダ時代の大切な友人y子さんと銀座、その前は京橋でマイレージの特典をつかって2時間ほどの整体です。どうやら肝臓、腎臓がきてるみたいでした。でもすっかり体も元気になって、おいしい紅茶をのみ、リラックスです。
 本題にはいるまえに、最近コンサートにきてくださった方からお葉書をいただくことがよくありまして、この場を借りて、御礼を申し上げたいと思います。私のつたない演奏を思い起こしていただくだけでも、あまりある幸せなのに、心から思ってくださったことが書いてあって、なんと御礼をいったらよいのやら。。本当にありがとうございました!

 さて、昨日の続きなのですが、3点おもしろいなと思えることがって、1の「アメリカ人と日本人の報酬に対する見解の違い」というのは、つまり、日本人が100もらえるとしたら、日本人はとなりの他人とくらべて、「なんで他の人は150もらっているのに、自分は?」となるそうですが、アメリカ人は「自分はこれだけのことをやったのだから、これでは低すぎる」という見解になるみたいで、他人とくらべてどーのこーのではなくって、いわゆる「自分の価値」というものをよく見極めているというか、絶対的な自信とかプライドというか、「自分のクオリティー」を自分でちゃんと客観的に評価しているっていう点に、すごいな、と。
 そして2番目の「グローバリゼーションに伴い、今までよりさらに高次元でのクオリティーで勝負しなければならない」という点においても、日本人としてクオリティーを高めつつ、世界につながるようなこと―つまり、先へ先へと発展して、希望をもてるようなところまで追求しなきゃいけないということ。現状を打開する力、個人のそういう力を集めることでしか、今の厳しい日本を救えないということ。
 そして最後に「マイニング・ザ・マイナーズ」(炭鉱堀りを掘れ!)アメリカのフロンティア時代に炭鉱堀りに注目しただけでなく、どうやったら彼らがよりよく働けるか、彼らのズボンにポケットをつけるという着眼点がやがて「リーバイス」に発展したというお話。なるほど。いつの世の中も、やっぱり「発想」とか「今までにない着眼点」とか、そういうことが、そういう個人のちょっとした発明が実は世の中をかなり豊かにしているのだと、改めて思ったのであります。「希望」という言葉が両先生の間でさかんに言われていたのだけど、ぱっと思ったのは「クールに傍観している場合じゃない」ってことなんだなって。日本の社会を救えるのは本当に個人ひとりひとりで、世界の大きなうねりについていくためにも、個人の発展がすごく大事で、その中で私はなにができるだろう?って。すごく考えちゃいました。それで実はとてもやる気がでてきて、もちろん今までの音楽の先生がたから習ったことを軸にいろいろなことをもっとしっかり表現できなければならないのだけど、そこに自分のクオリティーを織り込んで、しっかりそれを外に発信していく。そんなことが実は一番今重要なんじゃないかなって。引け目を感じている場合でなくて、そうやって社会の歯車になっていくことが今求められているんじゃないかなって思ったら、私のなかにもたくさんのアイデアが浮かんできました。これを現実にしていくには時間がかかるけど、必ず、実行しますね!お楽しみに!

 

ちょっとまじめなお話 その一

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 今日はご縁があって、普段は絶対足を踏み入れることのない領域―「経済」について、非常に刺激的な経験をさせていただきました。

 場所は東京會舘。竹中平蔵先生と、モルガン・スタンレーのフェルドマン先生の議論を2時間にわたり聞いて参りました。タイトルは『新しい国際政治・経済秩序における日本の針路』。
 500人の方々のなかで女性が10人ほどの、そして私のような音楽家がぽつんとひとり、そして赤いジャケットなんか着ていくものだから(オランダにまじめな服はおいてきてしまった。。)なんだか気恥ずかしいのと、場になじめないのとで、いつになく真剣に聞いてまいりました。
 すこし自分の頭のなかでまとめないといけないので、今日は特に気になった3点についてポイントアウトしたいと思います。
 1 アメリカ人と日本人の報酬に対する見解の違い (国民性の反映)
 2 グローバリゼーション化に従い、より高いクオリティーを追求する必然性 (今までと同じ挑戦の仕方は通  用しないということ)
 3 「リーバイス」の創業理念を例に―着眼点をさらに展開させるための創造力を養うということ
 
  共通して言えるのは、「どうやったら希望をもてる社会を、未来をつくれるのか」というお話だったとおもうのですが、これが結構音楽と通じることがあって、私の中ではかなりピピピっといろいろなものがつながったのですが、今日は遅くなってしまったのでまた明日。「経済学」というのは、統計とか情報とかいろいろなものを読みととったあとは、非常にクリエイティブな学問だということがわかって、なんだかいまもウキウキしています。しかし世の中はおもしろい!
 

フォルテピアノの奏法について

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 みなさまお元気でいらっしゃいますか?私はだいぶ心身ともに平穏な日々を取り戻しつつあります。前のように毎日毎日まだ書けないのですが、その分前よりは構想を温めてから書こうとおもっております。
 先日のみなとみらいコンサートで、私の恩師、一番最初の専門的なピアノの先生、M先生にきていただくことができ、(先生に会っていなければゲイダイガクリカには行っていなかったでしょう。。)先生の感想を母校の同級生から聞いたところによると、「フォルテピアノの奏法は自由だから彼女にあっていたのかしら?」とのこと。
 そこですごく思い出したのが、やはり恩師の故小島芳子先生のお言葉で、初めてレッスンにいったとき、最初っから「フォルテピアノの奏法って具体的に何が違うのでしょうか?」と質問してしまった!時に、「10年やらないとね!」と笑顔で答えてくださったこと、鮮明に覚えています。今ちょうど9年経って思うのは、確かにオランダにいってからというもの、古典派の音楽を理解する基礎知識、楽譜の読み方捉え方、楽器について、それぞれの楽器の特性をすぐつかむこと(初めての楽器で、10分経ってもおろおろしていたら、2年目には怒られていた。。)要は「型」-古典派に共通する「型」は学んだのだけど、(学んだというよりも、ずっとそういう人たちに囲まれていたので、自然と耳にはいってくるのが、そういうスタイルであったということ)それを押さえたら、あとはやっぱり「個」の部分が強いのかもしれません。「型」を押さえたらあとは自由に羽ばたけるような。。
 やっぱり「~先生の弾き方」とか流派とか、そういうのってとっても根強いと思うのですけど、そういうものじゃなくって、もっと客観的なもの、いつでもどこでも振り返ったら安心して戻っていって、またエナジーを蓄えてこられるような、そういう「型」を、今考えると伝授されていたのだなあと。そういえば「僕の真似したってだめだからね!あとはめぐみの考えで弾いて、驚かせてね!」て、よくいわれてたな。試験の直前になっておかしくなると、「今までやったことはすべて忘れて、すべて自分でやってこい!」と。。。
 私が弾いたバガテルについて、何人の方からか質問や感想をいただきました。あのリピートをした時の異様な弱音の種明かしは、「モデレーター」といって、弦の下にフェルトがくるので、とても柔らかで小さな音になるのですけど、あれをオランダの先生方の前でやったらどうなるのかなあ?「やめなさい」といわれるかもしれなけれど、あの時のあの場所、あのホールの感じ、お客さまの感じ、そしてなによりあの楽器の感じを重視したらああなって、そういう楽器との一期一会な付き合いかたも、やっぱりフォルテピアノならではなのかなあと思っております。
  長くなってしまってごめんなさい。秋の夜長についついです。。

嵐のあとの。。

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 みなさまお元気でいらっしゃいますでしょうか?私はやっと少しずつ現実に戻ってきた感じですが、まだまだ時間が必要みたいです。なんだか疲れすぎていて自分がスローなのか、世界がゆっくり見えたりして、結構ふらついているのだなと、自分を遠くからみたりしています。そんなときは自炊だなとおもって、ひたすら日常のことをやろうとしたり、お気に入りの場所や新しいお店を発見しようとして、東京の街をふらふらしています。
 昨日、本当にお世話になったアントニオがオランダへ帰ってしまいました。空港ではもっとお互い泣くのかしらと思ったけど、疲れすぎてて、目の下真っ黒で、なんだかちゃんとさよならもいえず。。という感じでした。前日の食事の時に急に二人で泣いたりするものだから、周りにもびっくりされてしまったけど、いきつけのてんぷら屋さん、さりげないお心遣いに感謝します。
 彼から今回いただいたもの、授けられたもの、音楽的にも深められたものがあまりにもたくさんで、そしてまた自分の人間としてのいわゆるイケテナイ部分、発展途上のところを痛感させられて、彼だってそんなことを伝えるのに相当心を痛めただろうに、うまく受け止められず反発してしまったりとか。。本当に音楽家としてだけでなく、受け皿の深い人だなあと、心底尊敬できる、大切なパートナーの一人です。ありがとう。
 これからしばらくは自分の休養に入ります。こっそりと来年へのパワーをためて、またガツンと大きなことにチャレンジできるよう、今はおとなしくもしっかりと自分の内面を直視しようと思っています。
 この3公演にお力を添えてくださった皆様、そしてお忙しいところ聴きにきてくださった皆様、もっともっと深い、いい演奏ができるようがんばりますので、また応援していただけたら有難いです。本当に本当にありがとうございました!!!

 なんとか横浜公演も、みなさまの温かいご支援のおかげで無事終えることができました。みなさまが楽しんでくださることが、もちろん私とアントニオ氏にとっての幸せなのですが、今回の演奏会は自分の人生のなかでも、音楽家として、そしてひとりの人間として、どういう部分を自分でちゃんと見極め、これから育てていかなければならないのかという、根本的な課題をつきつけられた人生の一こまでした。今は終わったばかりでまだまだフィードバックする余裕がないのですけれども、明日から5日間イギリスへコンクールのファイナルへ出演するためまた飛行機に乗るので、すこし頭を冷やしてきます。10日の演奏会はまったく違うコンセプト、曲目で挑戦しますので、楽しみにしてくださったらうれしいです!私もまた新たな気持ちで臨みたいと思います!本当にありがとうございます!