フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

オランダ・ドイツ旅行記 其の二

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 はてさて、昨日はドイツのマスタークラスに参加するところまでお話しました!その続き!
 地図を片手にカツカツと歩いていったら、ドーンとお城が登場。入口を迷いつつも、無事アカデミーの初顔あわせに参加。ハーグで一緒に勉強したクラリネットのエルンスト氏が立派に先生をやっていて感動。彼のクラスでは伴奏したりして、いい思い出ができました。夜は毎日近くにある劇場の食堂へいって、白ビールとシュニッツェル(うすい豚肉にパン粉をまぶして、カラッと揚げたもの)そして、フライドポテト。。一週間で本当に身体のラインが変わってしまう組み合わせ。。。
 フォルテピアノのブルンナー先生からも、たくさんの大切なことを教わりました。彼の教授法は、一人の生徒が弾いたら「みんなで」その演奏を吟味して、ピアノ教授法という観点からいくと、どういうふうにテクニックを使うべきか、チェンバロのテクニックを、フォルテピアノを弾く時にどういうふうにくみあわせるのか。だから、常にディスカッションみたいになるので、普段使い慣れていないドイツ語を必死に追っかけて、演奏するよりも言葉を理解することのほうに神経つかったかも。。で、私のレッスンは。。しっかり抜け落ちているところがバレテ、「ここの小節だけ、どういうふうに弾くか決めてないでしょ!それは許されない!」と、しっかりご指摘いただきました。ひとつのフレーズでどれだけバリエーションをつくれて、その中から自分のしっくりくるものをちゃんと選べるか、そこにはもちろん自分の感性を閃かせる前に、「歴史的事実―当時の作曲家、演奏家達が用いていたであろう理論や考え」というのがあるわけで、それを知る、知ろうとしなければ音楽を作ることなんてできない。。改めて、その奥深さと、しっかりとした勉強を自分なりにコツコツ続けなきゃ!と思い知らされました。
  日本人のお友達Kちゃんにも出会えて、本当にお世話になり、毎夜毎夜お話できてよかった!それから、同じくフォルテピアノの受講生であったギリシャ人のPくん、そしてスペイン人のカルテットからは本当に良い刺激を受けた!終了コンサートの、一音目から、本当にすばらしい!たった一音で、人の心にすーっと入り込み、ふわーって香水が広がっていくような、楽譜に書いてあること、プラス、イマジネーションの世界。私が卒業してからお仕事している音楽家たちが皆南ヨーロッパの人ということもたぶんとても影響しているのだろうけど、彼らの音楽、音楽の仕方を聴いて、とても励まされたと同時に、私の方向性はこれでいいんだ!っていう確信、これを信じて進もう!と背中を押してくれたような、そんな貴重な音体験だったのです!
 私は何年ぶりかにモーツァルトの息子、クサーヴァー・モーツァルト作曲の「フルートとピアノのためのロンド」、それからクラリネットとチェロと、ベートーヴェンのトリオ、作品11を久々に弾けて、楽しかった!またフルートの先生の私に対する細やかな指導にも、かな脱帽。音の芯の部分を、いつでも完璧に捉えられる先生は、すごかったな!フォルテピアノの出すピッチに、一音一音ストライクで、しかも笛の音色が完璧にピアノのかもし出すハーモニーに溶けていく様は、真の音楽家じゃないと到達できない聖域。。

 (写真はギリシャ人のピアニストとドイツ人のチェリスト、そしてスペイン人のカルテットのメンバー!太陽のようなひとたち!)  

 そんなわけで、とても音楽三昧の日々、そしてたくさんの刺激的な人々に会うことができて、私はとっても幸せでした。そして帰りは、スペインからやってきたという謎の嵐に直撃し、普段オランダに帰るときには通らない道―まっくらなライン河の水面にオレンジの街灯が幻想的にゆらめいて、それを眺めながら、ちんたらとオランダへ向かったのであります。アムステルダムに無事ついたのは翌朝の4時。。

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