フォルテピアノ奏者 丹野めぐみ BLOG。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業後、オランダ初めヨーロッパ各地にて研鑽を積み、同地にて活躍。現在オランダでもっとも権威ある「De Nederlandse Opera」のメンバーとして参加、また「Amsterdam Barok Opera」にて活動の場を広げるとともに、ヨーロッパを中心に、室内楽とドイツリートの分野で精力的な活動を行なっている。

March 2010Archives

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 はてさて、そろそろ帰国から一週間。身体が馴染んでもいいかなとは思うのだけど、オランダより寒いからか、どうしてもイマイチ調子にのれない。。そんななかで今日はリセットの日。ちゃんと料理して、ちゃんとキレイにして、少しペースをつかんできたような。
  ドイツで思ったこと―ドイツ人のおばあちゃんと二人で暮らした一週間は、ドイツ語に苦労したけれど、ドイツのもつ奥深さに触れることができてとても有意義でした。特に思ったのは「静けさ」について。京都のお寺のなかのひんやりした静けさとも、オランダの夜のはりつめた静けさともまた違う。。。今だって日本と比べれば本当に静かなのに、昔はもっと音がなかったわけだから、ドイツのこの静けさの中から、偉大な音楽家たちがうまれ、偉大なる哲学者が生まれたという事実を、夜中にひっそりと想いめぐらせることができたのは、私がこれから音楽をやっていく上でとても重要な礎になっていくのかも。いろいろなものが溢れているとかえっていろいろ見えなくなる。あまりにもシンプルな生活のなかで、ちょっと耳を澄ますと、おそろしいほど静かで、そうなると自分に問いかけたり、内観したり、自ずとしちゃうもんな。。その土地土地の自然と、人間の暮らし、思想は目に見えないけど、今更ながら、すごくすごく結びついているんだ!と、発見したのであります。
  
  ハーグを去る前もだれが植えたわけでもないだろうに、クロッカスがぶわーっと咲き乱れて、本当に毎年ながら不思議。アムステルダムも都会なのに、大きな鳥、(名前は?)が堂々と、私を怖がることもなく歩いていく。。。自称都会っこ?の私はそういうちょっとしたことに随分ドキドキして、同時に随分励まされたのであります。。

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 はてさて、昨日はドイツのマスタークラスに参加するところまでお話しました!その続き!
 地図を片手にカツカツと歩いていったら、ドーンとお城が登場。入口を迷いつつも、無事アカデミーの初顔あわせに参加。ハーグで一緒に勉強したクラリネットのエルンスト氏が立派に先生をやっていて感動。彼のクラスでは伴奏したりして、いい思い出ができました。夜は毎日近くにある劇場の食堂へいって、白ビールとシュニッツェル(うすい豚肉にパン粉をまぶして、カラッと揚げたもの)そして、フライドポテト。。一週間で本当に身体のラインが変わってしまう組み合わせ。。。
 フォルテピアノのブルンナー先生からも、たくさんの大切なことを教わりました。彼の教授法は、一人の生徒が弾いたら「みんなで」その演奏を吟味して、ピアノ教授法という観点からいくと、どういうふうにテクニックを使うべきか、チェンバロのテクニックを、フォルテピアノを弾く時にどういうふうにくみあわせるのか。だから、常にディスカッションみたいになるので、普段使い慣れていないドイツ語を必死に追っかけて、演奏するよりも言葉を理解することのほうに神経つかったかも。。で、私のレッスンは。。しっかり抜け落ちているところがバレテ、「ここの小節だけ、どういうふうに弾くか決めてないでしょ!それは許されない!」と、しっかりご指摘いただきました。ひとつのフレーズでどれだけバリエーションをつくれて、その中から自分のしっくりくるものをちゃんと選べるか、そこにはもちろん自分の感性を閃かせる前に、「歴史的事実―当時の作曲家、演奏家達が用いていたであろう理論や考え」というのがあるわけで、それを知る、知ろうとしなければ音楽を作ることなんてできない。。改めて、その奥深さと、しっかりとした勉強を自分なりにコツコツ続けなきゃ!と思い知らされました。
  日本人のお友達Kちゃんにも出会えて、本当にお世話になり、毎夜毎夜お話できてよかった!それから、同じくフォルテピアノの受講生であったギリシャ人のPくん、そしてスペイン人のカルテットからは本当に良い刺激を受けた!終了コンサートの、一音目から、本当にすばらしい!たった一音で、人の心にすーっと入り込み、ふわーって香水が広がっていくような、楽譜に書いてあること、プラス、イマジネーションの世界。私が卒業してからお仕事している音楽家たちが皆南ヨーロッパの人ということもたぶんとても影響しているのだろうけど、彼らの音楽、音楽の仕方を聴いて、とても励まされたと同時に、私の方向性はこれでいいんだ!っていう確信、これを信じて進もう!と背中を押してくれたような、そんな貴重な音体験だったのです!
 私は何年ぶりかにモーツァルトの息子、クサーヴァー・モーツァルト作曲の「フルートとピアノのためのロンド」、それからクラリネットとチェロと、ベートーヴェンのトリオ、作品11を久々に弾けて、楽しかった!またフルートの先生の私に対する細やかな指導にも、かな脱帽。音の芯の部分を、いつでも完璧に捉えられる先生は、すごかったな!フォルテピアノの出すピッチに、一音一音ストライクで、しかも笛の音色が完璧にピアノのかもし出すハーモニーに溶けていく様は、真の音楽家じゃないと到達できない聖域。。

 (写真はギリシャ人のピアニストとドイツ人のチェリスト、そしてスペイン人のカルテットのメンバー!太陽のようなひとたち!)  

 そんなわけで、とても音楽三昧の日々、そしてたくさんの刺激的な人々に会うことができて、私はとっても幸せでした。そして帰りは、スペインからやってきたという謎の嵐に直撃し、普段オランダに帰るときには通らない道―まっくらなライン河の水面にオレンジの街灯が幻想的にゆらめいて、それを眺めながら、ちんたらとオランダへ向かったのであります。アムステルダムに無事ついたのは翌朝の4時。。

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 いやはや、すごくご無沙汰してしまいました。2ヶ月くらいたってしまいました。。
 2月15日よりオランダ・ドイツに滞在して、今週戻ってきました!
 なにから書けばよいのやら。。。今回ほど滞在が長く、「3ヶ月くらいいたぞ!」という気分になったことはないし、楽しいことがあまりにも多すぎて飽和状態。。いろいろなジャンルの方々とお話できて、本当にすばらしい時でした!
  2月15日に無事出発し、同日の午後アムステルダムへ。機内でかわいい女の子二人とお話!なんとドイツに靴を作りにいくのだとか!瞳のキラキラした感じがとても好印象のお二人!ぜひ作品をみたいな。そしてひさびさにあったアントニオ氏の手料理、ラザニアを一から作ってくれて、感謝です。いつもお世話になっているお家に辿りつき、ホッとして就寝。湯たんぽがまた心まで温めてくれます。
 2月18日がアントニオ氏の修士卒業試験ということもあって、16日からは早速バルト先生のレッスン。疲れなんか吹っ飛んで、地球の裏側から飛んできて、尊敬する二人の音楽家のやり取り、そして大好きなベートーヴェンのバガテル作品126を耳にして、本当に摩訶不思議な、幸せな気分。二人であーでもないこーでもないと熱心に語り合う姿をみて、「あー私もここで卒業して、たくさん学ぶことができたんだなあ、こういう人たちにめぐり合えて幸せだな」としみじみしていました。本当に貴重な、一生覚えている時間だったと思います。17日にあわせをして18日に試験。半分くらい「テンポ・ルバート」として演奏、あとはアントニオ氏の独奏。プログラムもさすがによく練ってあって、とくにベートーヴェンのバガテルは、音色とペダルの使い方が斬新で、私はとても好きでした。ベートーヴェンがいたるところに隠した宝物を、ちゃんと大切に表現しているあたりに、彼の類稀な探究心と音楽に対する誠実さを感じました。私もひさびさに連弾できて、またひとつ壁を越えてしっくりくるようになったことがなにより嬉しかった。 
 そして、21日より一週間、ドイツへ!カールスルーエ音楽大学で行われた「ヘンデル・アカデミー」に参加してきました。久々のドイツ!天気がよくって車窓からの眺めもバッチリ!ライン川を渡り、うっすら積もる雪をみながら、無事にカールスルーエへ。いつもならカンタンにタクッてしまうことろ、ちゃんと駅の本屋さんで、安い地図を見つけ、それから、お宿までなんとか自力で、(スーツケースにハイヒールでごろごろしながら、かなり遠回りした。。)辿りつきました!フラウ・ランゲの出してくれた「グリューワイン」(ドイツで冬に飲む、サングリアをあたためたような、フルーティーな赤ワイン)であたたまりつつ、久々のドイツ語に冷や汗。ぐっすりねむって、いよいよ出陣!地図をみながらたどり着いたのは「お城」!そしてここが7日間のアカデミーの会場でした!続きはまたあした!